実技サンプル

ダンベルを頭上から降ろし、ボトムポジションから素早く股関節を伸展させてクリーンを行う。動作中に腰椎骨盤帯の安定性を保つには、骨盤周辺の筋群におけるCo-contractionによって骨盤前傾を防ぐ必要がある。また、ボトムポジションから爆発的に跳び上がるイメージを持つことでより高いパワー発揮が期待できる。

• 腰椎骨盤帯におけるCo-contractionの向上と、それに伴う爆発的動作中の安定性向上
• 動作中に起こる過度な骨盤前傾の予防
• 股関節伸展における爆発的な力発揮の学習および運動効率の向上

方向：鉛直方向
収縮様式：SSC（伸張短縮サイクル）

1. 両脚支持、軽めのダンベルを用いて動作の精度に集中する
2. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える
3. 片脚支持、アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

スプリント時の加速や方向転換時に求められる切り返し動作での力発揮を高める。ダンベルやアクアバッグなどの制御を通じて、短時間で爆発的な力を発揮する能力が向上する。

立位でプレートを胸の前で保持し、左右や上部など様々な方向にプレートをプレスする。プレートの慣性によって生じる体幹の回転に抵抗するために、腹筋群のアイソメトリックな力発揮が必要となる。また、プレートや胸郭の動きによっては腹直筋や腹斜筋群などが伸張されるため、伸張位での力発揮が向上する。これらの機能が向上することで、回旋動作中のパワー向上、腹筋群・ハムストリングスの肉離れの予防、腰椎への過度な圧迫ストレスの軽減が期待できる。

• 腹筋群における、等尺・伸張位での力発揮の向上
• 抗回旋機能（剛性）の向上

方向：OKC（オープンキネティックチェーン）動作のため力発揮の方向はなし
収縮様式：アイソメトリック・エキセントリック

1. 軽いプレートでゆっくりと大きな動きを行い動作の精度に集中する
2. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える
3. 片足をボックスに乗せた姿勢で支持期底面を小さくする

バッティングやピッチング、ゴルフスイングなどの回旋系動作においては、下肢から上肢へ効率的にエネルギーを伝える必要がある。腹筋群を主体とした全身の剛性を向上することで、回旋時（ローディング期）のパワーを高めると共に、腹筋群の肉離れを予防する。また、スプリント中における過度な骨盤前傾を防ぐことで、ハムストリングスの肉離れを予防する。

ボックスから約1m離れた位置で、体幹と下腿を前傾させてプレートを保持した状態からボックスに向かってランジする。脚の前方スイングと連動してプレートを頭上にプレスし、遊脚側の骨盤挙上と腰部側屈を強調することで、必然的にヒップロックが行われる。また、手を身体の中心線の延長線上に素早く押し出すことで、ヒップロックを更に強調し、更なる出力の向上が期待できる。

• ヒップロック（腰部側屈＆骨盤挙上）の学習
• 遊脚のスイングから股関節伸展に至る過程の連動性を向上する
• 前方（リニア）方向への爆発的な力発揮の向上

方向：前方方向（リニア）
収縮様式：コンセントリック

1. プレートを用いてゆっくりと大きな動きを行い動作の精度を高める
2. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

身体を素早く加速させる局面（特に支持期中）における力発揮を高める。前額面方向への動揺に抵抗する能力を鍛えることで、骨盤の不適切な位置取りに起因するハムストリングスの肉離れや、膝の外反に起因するACL損傷の予防が期待できる。

仰向けで寝た状態から、補助者が片側の膝と足首に手を当て、床方向に押す。実施者は抵抗に対して股関節を屈曲する。その際、大腿直筋と腸腰筋が強く動員されることで、股関節の屈曲トルクの向上が期待できる。

• 大腿直筋および腸腰筋の活性化
• 股関節屈曲トルクの向上

方向：OKC（オープンキネティックチェーン）動作のため力発揮の方向はなし
収縮様式：コンセントリック

特になし

ジャンプで求められる脚の振込動作や、ボールのキック動作における脚のスイングなど、股関節屈曲が重要となる局面での力発揮を高める。また、股関節屈曲トルクを強化することで、スプリントにおけるフロントサイドメカニクスを学習し、結果としてスプリント能力が向上する。

ローマンチェアに片足をかけ、体幹が地面と並行になるまで股関節を伸展した姿勢でプレートを身体の横側に保持しつつ、補助者がプレートを動かす力に抵抗する。この時、殿筋群およびハムストリングスのアイソメトリックな力発揮が必要となるが、この機能が向上することでハムストリングスの肉離れ予防が期待できる。

• 殿筋群およびハムストリングスの活性化
• 殿筋群およびハムストリングスのアイソメトリックな力発揮能力の向上

方向：OKC（オープンキネティックチェーン）動作のため力発揮の方向はなし
収縮様式：アイソメトリック

1. 補助者が加える力を調整して動作の精度に集中する
2. 補助者が加える力を徐々に強くして外乱を大きくする

スプリントの接地やジャンプの着地において、腰椎骨盤帯から下肢にかけての安定性や筋腱複合体のレジリエンスを向上する。補助者が加える外乱への抵抗を通じて、相手からのコンタクトに対する反射的な姿勢制御能力が向上する。

片膝立ちでプレートを持ち、胸の前から頭部後面を通過するように大きくプレートを振り回す。プレートの慣性によって生じる体幹の回転を制御するために、腹筋群のアイソメトリックな力発揮が求められる。また、プレートや胸郭の動きによっては腹斜群が伸張されるため、伸張位における力発揮の向上も期待できる。

• 腹筋群における、等尺・伸張位での力発揮の向上
• 抗回旋機能（剛性）の向上

方向：OKC（オープンキネティックチェーン）動作のため力発揮の方向はなし
収縮様式：アイソメトリック・エキセントリック

1. 軽いプレートでゆっくりと大きく動かし、動作の精度に集中する
2. プレートを速く回し実施者が発揮する力を大きくする
3. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

バッティングやピッチング、ゴルフスイングなどの回旋系動作においては、下肢から上肢へ効率的にエネルギーを伝える必要がある。腹筋群を主体とした全身の剛性を向上することで、回旋時（ローディング期）のパワーを高めると共に、腹筋群の肉離れを予防する。また、スプリント中における過度な骨盤前傾を防ぐことで、ハムストリングスの肉離れを予防する。

ボックスに対して横向きに立ち、ボックスと反対方向に小さなプレジャンプを行った後、直ちにボックスに跳び乗る。素早くボックスへジャンプするために、プレジャンプの着地に伴う衝撃を効率的に吸収し、短時間でラテラル方向に大きな力を発揮する必要がある。また、プレジャンプの距離を大きくしたり、ボックスから離れた位置から開始するなど、課題や環境を変えることでより大きな衝撃吸収や力発揮を引き出すことができる。

• 並進方向に生まれた地面反力の吸収効率の向上
• 並進方向への爆発的な力発揮の学習

方向：並進方向（ラテラル）
収縮様式：SSC（伸張短縮サイクル）

1. 両脚支持、プレジャンプの距離を短くし、動作の精度を高める
2. ハイドロベストを着用して外乱を加える
3. 片脚支持、ボックスに対して外側の脚で行う

サッカーやバスケットボール、テニスなどで必要な横方向への切り返し動作や、投球時に必要な並進運動での力発揮を高める。また、ハイドロベスト等で外乱が加わった状況で反対方向にプレジャンプすることで、競技中に外乱を受け体勢を立て直す局面に類似した状況を再現できる。

ボックスから約1m離れた位置で横向きに立ち、前後に足を開き身体の横側でメディシンボールを保持した姿勢から始める。ボールを地面に叩きつけると同時に、ヒップロックを行いながら遊脚をボックスの方向にスイングしランジする。ヒップロックと遊脚のスイングが連動することで、並進方向への力発揮が向上する。また、体幹側屈時には肩甲骨の下制により骨盤との距離が近づく必要があるが、当種目ではメディシンボールを叩きつけることでその動作が強調される。結果として、ヒップロックの基礎的な身体操作が習得できると言える。

• ヒップロック、遊脚のスイングおよび股関節伸展の連動を学習
• 並進（ラテラル）方向への爆発的な力発揮の向上
• 肩甲骨の下制や腰部の側屈など、ヒップロックのための身体操作の習得

方向：並進方向（ラテラル）
収縮様式：コンセントリック

1. ゆっくりと大きな動きを行い動作の精度を高める
2. メディシンボールを投げる前にシェイクして外乱を加える

競技中に、並進方向に素早く加速する局面（特に支持期中）における力発揮の効率を高める。肩甲骨と骨盤の動きが連動することで、より効率的な姿勢制御が可能となる。

片膝立ちで、胸の前でプレートを保持し、後脚側のプレートを頭上にプレスする。前脚側に側屈することでヒップロックを行い、その勢いを利用することで効率的な力発揮を学習する。ヒップロックを強調するために、後脚側の手を身体の中心線の延長線上に素早く押し出す。また、プレートやアクアバッグ、アクアボールを使うことでより高いパワー発揮や外乱応答が必要となるため、必然的にヒップロックが行われる。

• 腰部側屈トルクの学習
• 腹斜筋群と腰方形筋群の活性化

方向：鉛直方向
収縮様式：コンセントリック

1. 軽いプレートを用いて動作の精度に集中する
2. プレートを重くして力発揮を高める
3. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

身体を素早く加速させる局面（特に支持期中）における力発揮を高める。前額面方向への動揺に抵抗する能力を鍛えることで、骨盤の不適切な位置取りに起因するハムストリングスの肉離れや、膝の外反に起因するACL損傷の予防が期待できる。

レジスタンスバンドを腰に装着し、大きなストライドでサイドステップする。素早く横方向へ加速するには、下肢よりも先に上半身を回転する「Upper Body First（UBF）」を学習する必要があるが、当種目は負荷に対して移動することでUBFを効果的に学ぶことができる。また、初段階では「胸を進行方向に向ける」「頭部の高さや目線を変えずに水平移動する」イメージを持つことで、より回旋運動を促したり、並進方向へ効率的なパワー発揮を促すことができる。アクアバッグを制御しながらサイドステップすることで、不安定な状況での安定性が向上する。

• UBFの学習と、それに伴う並進方向への加速力の向上
• 股関節伸展とヒップロックによる並進方向への力発揮の向上

方向：並進方向（ラテラル）
収縮様式：コンセントリック

1. ゆっくりと大きく動き動作の精度に集中する
2. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

サッカーやバスケットボール、テニスなどで求められる横方向への切り返しや、投球時の並進運動における力発揮を高める。

バッティングの構えから軸足でピッチャー側にステップし、リード脚が着地後すぐに元の位置に戻る。瞬間的に支持脚で身体を安定させる必要があるため、下肢筋群におけるCo-contractionが活性化する。結果として、回旋運動で生まれた大きな外乱に対抗するための脚のスティフネスや適切な方向への爆発的な力発揮の向上が期待できる。また、アクアバッグを使用することでより大きな外乱が生まれるため、下肢から体幹にかけての反射性スタビリティの更なる向上が期待できる。

• リード脚の筋群におけるCo-contractionの学習と脚スティフネスの向上
• スイング動作時の安定した姿勢保持とリード脚が発揮する力の方向の学習

方向：並進方向（ラテラル）
収縮様式：SSC（伸張短縮サイクル）

1. ゆっくりと大きな動きを行い動作の精度を高める
2. ラケットや軽いバットを持ちながら動作を行う
3. アクアバッグやアクアボール、ハイドロベストを用いて外乱を加える

バッティング動作において、リード脚が発揮すべき地面反力の方向を学習する。この力発揮の方向を学習することで、効率的に身体の回転モーメントが生まれ、バットのスイング速度が向上する。

片足をボックスに乗せ、コッキング姿勢をとりながら、プレートを様々な方向へプッシュする。その際、体幹を安定させるために、腹筋群や肩関節周りの筋群がアイソメトリックな協調運動を行う必要がある。プレートや胸郭の動きによっては腹筋群やローテーターカフが伸張されるため、伸張位での力発揮が向上する。これらの機能が向上することで、投球時に求められる体幹部と肩関節の反射性スタビリティが獲得でき、また下肢から上肢への力学的エネルギーの効率的な伝達が可能となる。

• 腹筋群およびローテーターカフにおける、等尺・伸張位での力発揮の向上
• コッキング姿勢における抗回旋機能（剛性）の向上

方向：体幹および上肢の力発揮のため方向はなし
収縮様式：アイソメトリック・エキセントリック

1. 軽いプレートでゆっくりと大きな動きを行い動作の精度に集中する
2. アクアバッグやアクアボールを用いて外乱を加える

投球動作のコッキング期においては、腹筋群やローテーターカフのアイソメトリックな力発揮が求められる。また、投手が最大限のパワーをボールに伝えるには、上胴から上肢へ効率的に力学的エネルギーを伝達する必要がある。また、適度な外乱を加えて動作を繰り返すことで多様な運動学習が可能となる。結果として投球フォームの再現性が高まり、投球メカニクスの問題に起因する障害の予防にも繋がる。